おいしいパン屋プレーゴ
“携帯クーポン配信”で 雨の日のお客を呼び込む
焼きたての自家製パンを売りものにする、まちの小さなベーカリーには一つの悩み事がある。日中から雨になった日に、いかにしてお客を集めるかということだ。せっかく朝、いつもと同じように大量の調理パンや菓子パンを焼き上げたとしても、雨の日は客足が伸びずに売れ残ってしまうからだ。焼きたてのフレッシュさを持ち味にする以上、残ったパンを翌日にまわすわけにはいかないので、雨が降り出した途端、商品の一斉値下げをはじめる店も少なくない。が、それではたまたま店に来たお客さんだけへのサービスにしかならず、さばける数にも限界がある。しかし千葉県柏市のプレーゴでは、「携帯メール」を使ったインセンティブの告知を行うことにより、雨の日の売れ残りをゼロに抑えることも珍しくない。
長塚慶一店長がこう語る。
「昼過ぎから雨となり、売れ残りが避けられないと判断したときは、すぐにメール会員約400名に『自家製パンすべて30%引き!』と記した携帯メールを送ります。いわば即日発行の割引クーポン≠フようなものです。携帯メールの一番の長所は、ほぼリアルタイムにお客さんに見てもらえるところ。だから、急に雨になった日でもすぐに情報を伝えることができるんです。お買い得だ、ということで近所のお客さんが続々とやってきます」
メールを開かせるインセンティブ
同店のメール会員は、30代の主婦が中心。それらの会員に対し、長塚店長は雨の日だけでなくほぼ毎日、午前10時前後に携帯メールを配信している。そのなかには、例えば「本日に限りカレーパンを20%引きにします」といったお買い得商品の案内や、「本日、1000円以上お買上げのお客様にソフトクリームか金券(300円)をプレゼントします」などのプレゼント情報が日替りで掲載されている。だが実はこの場合のお得情報は来店を促すためのものというよりも、むしろメールを開かせることを目的にしたインセンティブであるという。
「最近では様々な業者が、販促活動の一環としてメールマガジンの配信を行っています。でも、その数の多さに辟易しているお客さんは、送られてきたメールをタイトルだけをみて削除してしまいがち。それを防ぐためには、『読んで得をする』情報をつねに提供していくことで、日頃から興味をひきつけておくことが大切なんです」
季節限定商品のPR
プレーゴでは携帯メールを使って、お得情報を告知するだけでなく、新商品や季節限定商品における宣伝を兼ねた説明も行っている。材料のこだわりや店長の思い入れを店頭で長々と説明するのは難しいが、メールならそれが容易にできるからだ。その説明文を読んでもらい、購買につなげるためにも、メールを開封させる必要がある。
ちなみに今の時期でいうと、シュトーレン(ドイツにおけるクリスマスの代表菓子)やチョコレートタルトが季節限定商品に当たる。もちろんそれらのPRをメールを用いて現在、積極的に展開している。
「毎日届くメールによってお店に親近感を持ってもらい、常時店頭に並べている約120種類のパンの感想などを気軽に言ってもらえる関係をお客さんと築くのが今後の目標です」と長塚店長は抱負を語る。
ちなみに携帯メールの配信にかかる費用は、ASP業者(有限会社フォース・61頁)のサービスを利用することで月額5250円。かつて折り込みチラシに費やしていたコストに比べおよそ12分の1で済んでいる。その浮いた金額を、長塚店長はインセンティブを用いたマーケティング活動の原資に回すという。 |