有限会社クロワッサン
携帯メール販促で土日の集客を増やしたベーカリーショップ
チラシ広告に代わる販促ツールとして携帯に着目
千葉県内で6店舗のベーカリーショップを展開するクロワッサンは、昨年6月から携帯メールを使った販促活動を行っている。一番の狙いは、土日の集客力アップ。その二日間の売上を伸ばせるかどうかが会社の業績を大きく左右するからだ。毎週末に送るメールの内容は、新商品の紹介や土日限定のお買い得パンの案内など。それらの情報を伝えることで来店を促す。
橋爪信義社長が携帯販促に目を向けるようになったのは、チラシ広告の効果が薄れてきたことを感じたため。マンネリ化したのが主な原因だった。それに代わる販促ツールとして期待を寄せたのが、定期購読していたマネジメント雑誌のなかで紹介されていた携帯販促だった。ASP業者のサービスを利用すれば、わずか月額数千円の低コストでメールの大量配信から顧客管理まで行えることを知り、自分たちでもできると判断した。
携帯販促をはじめるうえで必要なのは、メール配信を承諾してくれる会員を募ること。同社では、ASP業者(フォース・山上一之社長)の助言のもと、「無料メール会員募集」の旨を記した横15センチ、縦17センチのカードを作成し、それをレジ脇に置いて気軽に手にとってもらえるような工夫をした。そのカードには会員登録の手順に加え、会員になると得られる特典などを詳しく記した。
ちなみに会員登録は、(1)ASP業者のアドレスに空メール(無記入メール)を送信、(2)折り返し届く登録案内メールに記された会員登録URLにアクセス、(3)所定のナンバーを入力し登録、の手順で行う。「会員登録の際にお客さんに求める情報は、『メールアドレス』『性別』『年齢』『誕生月』『郵便番号』です。名前や住所、電話番号などプライバシー色が強いものについては、個人情報漏洩を心配するユーザーを考慮して集めていません」(橋爪社長)。会員獲得が順調に進んだのは、こうした気配りも影響しているのだろう。
現在の会員数は約2600人。最も多いのは30代女性で、二番目が20代女性。携帯電話に馴染みのある主婦やOLが多いというイメージだ。これらのユーザがーがメールを通じて固定客化していったことで集客力は格段にアップした。
一度メール会員になってくれたお客さんが登録を解除するケースもなかにはあるが、そうした離反を最小限にしているのは、社長の奥さんの橋爪真子専務が読んで楽しいメールを作成していることが大きい。最大でも180文字程度の短い文面で気軽に目を通せる内容にしている。ふだんの話口調を意識した文体にすることで明るくフレンドリーな感じを心掛けているという。
急な天候悪化の際は割引セール情報をメール配信
土日の販促のためのメールだけでなく、それ以外にも不定期にメールを配信している。例えば、午後から台風や雪などの天候悪化で客足が伸びないと判断すれば、すぐに割引セール開催のお知らせメールを配信する。
ベーカリーショップのパンは、焼き立てであることが一番のウリ。その宿命を背負っているため、売れ残りを翌日に回すわけにはいかない商品がほとんど。だから急な天候の悪化は店にとって大ピンチ。そんな状況を救ってくれるのが携帯メールなわけだ。メールを送ればほとんどのお客さんがすぐに見てくれる。お買い得感に惹かれて無理してでも買いに来てくれるお客さんは意外に多い。リアルタイムに近いかたちで情報を伝達できる点が携帯メールの最大のメリットといえる。
販促メールを送信する度に、およそ5、6件の返信が来るという。お店とお客さんとの関係は決して一方通行のものではないのだ。返信メールには購入にたパンの感想や新商品のリクエストが記されていることが多く、顧客ニーズを知る大切な情報源になっている。自社のホームページで各種商品の原材料の公開を始めたのは、アレルギーの子供を持つ主婦からの要望を反映しての工夫だった。
「先日も『胡桃パンのなかにチーズが入ったものが食べたい』というメールをもらいました。来店客の目を楽しませるためにも、年間100種類以上の新商品を出しているのですが、アイデアに行き詰まるときもある。新商品のリクエストが寄せられるのは本当に助かります」(橋爪社長)
クロワッサンの創業は昭和55年。10坪の店から夫婦二人でスタートした。その後、徐々に店舗数を増やし、二年前にはイタリア料理等を提供するカフェ・レストランもオープン。その店で出す新メニューの紹介や、数ヵ月に一度開催するロカビリィなどの演奏イベントの情報についてもメールを通じて伝えている。「ふだんパンを買っているお客さんがディナーを楽しみに訪れるケースがずいぶん増えました」(橋爪専務)。
最近では、パン・焼き菓子作り教室を開催するなどして、地元のお客さんとの関係をより一層深めているクロワッサン。メールを媒介に顧客との距離感を縮められたことで、従来とはひと味もふた味も違うサービスを提供できるようになった。 |