クール デ シエル
メールで入荷情報を知らせる 街の小さなブティック
売場面積10坪ほどの小さな婦人服販売店、クール・デ・シエルを経営する西谷恵子社長には、ある悩みがあった。こまめに展示会に足を運び、質の高いインポート衣料や靴を仕入れてくるものの、その入荷情報をすぐに馴染み客に伝えることができなかったのだ。
というのも、店で接客する傍らバイヤーも兼ねる西谷社長は、お得意さん一人ひとりの好みの傾向を把握しながらそのシーズン流行の商品を仕入れてくる。だから季節が終わる前にできるだけ早く入荷した商品を知らせたいところなのだ。とはいえ、実際に店に足を運んでもらわなければ教えることができなかったのである。
だが西谷社長は、昨年8月にそんな悩みを一気に解消した。電子メールで入荷情報を伝達するようにしたのである。現在、会員登録してくれたコアな顧客およそ150名にメールを配信している。その結果、今まで待ち≠フ姿勢でしか商売できなかったものが攻め≠ノ転じられるようになり、以前にも増して店を贔屓にしてくれるお客さんが増えた。
「メールでは、入荷商品の特長やそのブランドが持つバックグランドなども詳しく紹介しています。例えば『このキルティングジャケットはイギリス王室御用達のブランドのもで、素材や裁縫がしっかりしている・・・』といった具合にです。店頭ではお客様のご都合もあることですし、あまり長々と商品説明をするわけにはいきません。しかし好きな時間に読んでもらえるメールならそれが可能です」(西谷社長)
他にもメールで、「セール開催のお知らせ」や「セール期間中の目玉商品の紹介」などの情報を伝えることもしている。数日前のセールの売上が、8年前に店をオープンして以来、最高額を記録したのも、メールによる情報発信の成果に他ならない。
携帯アドレスにメール配信
西谷社長はメールを顧客の携帯電話のアドレスに送っている。届いたらすぐに目を通してもらえることが期待できるからだ。そして西谷社長自身、携帯電話でメールの作成と発信を行っている。じつは西谷社長、パソコンがあまり得意ではない。操作性に劣るとはいえ、携帯電話の方が気楽に扱えるのだ。
そんな西谷社長がメールを販促に役立てようと思ったのは、顧問先の会計事務所から街の小さなパン屋、居酒屋、美容室などが携帯メールで成果をあげている話を聞いたのがきっかけだった。
それらの店は、携帯メールの大量配信や会員データベースの管理をサポートしてくれるASP(アプリケーションサービス)業者の手を借りて、わずかなコストでメールマーケティングを実践していた。西谷社長はそのやり方を踏襲した。
「メールを使った販促は大企業だけのもので、私たちには敷居が高いものだと思っていました。でもよく考えてみると、顔なじみの固定客とのコミュニケーションを一層深められるという点で、小さな店こそ導入メリットがあるといえます」
小さな個店が生き残るためには、対面販売が重要と言われている。しかしメールは、直に顔を会わすことができないタイミングでも顧客との距離を狭めるのに役立つ。接客の付加価値を高めるのに、これ以上ないツールといえるだろう。 |